富山県・朝日町|行ってみてわかったバタバタ茶の魅力

「バタバタ茶」というお茶の名前を聞いたことがありますか?名前のユニークさに、どんなお茶なのか興味を持つ方も多いかもしれません。実は、富山県・朝日町に古くから伝わるこのご当地のお茶は、独特な発酵方法を使った『後発酵茶』として知られています。先日、朝日町を訪れ、バタバタ茶の魅力を自ら体験してきました。

旧川上家

バタバタ茶を飲むために、富山県・朝日町にある朝日町歴史公園の旧川上家を訪れました。旧川上家は、江戸時代の町屋をに移築した施設で、土間や囲炉裏など当時の生活を知ることができる場所です。こちらで早速、バタバタ茶をいただきました。

鉄瓶の中に、バタバタ茶の葉が入っています


手順は簡単で、煮たお茶を茶碗に入れて、茶せんを左右に動かして泡立てます。クリーミーな泡がたったら飲み頃です。
茶碗は、地元で作られた「五郎八茶碗(ごろはちぢゃわん)」。抹茶の茶碗よりも、少し小ぶりで、硬く作られています。茶筅を茶碗の左右のふちにあてながら泡立てるので、割れないように頑丈に作られているんだそうです。

茶せんは、抹茶を立てる時に使うものとは違い、筆のような柔らかさがあるもの。茶せんが2つ付いている夫婦茶せんと呼ばれています。

旧川上家は、観光の人たちが利用するだけではなく、地元の人々が農作業の後に立ち寄ったり、地元の子供たちが待ち合わせ場所として使っているそうです。わたしが行った時も、小学生の子どもたちがお茶を飲みにきていました。こんな場所が近くに羨ましいです。

歴史公園「旧川上家」

茶畑

この後向かったのが、バタバタ茶の茶畑です。訪れたのは4月上旬。訪れた時は葉が剪定された後だったので、成長した茶畑を見ることはできませんでした。お話を聞いてみたら収穫は夏の7月末から8月ごろに。葉が生い茂る姿を見られるのはこれからでした。品種は、富春(ふうしゅうん)で、バタバタ茶や和紅茶をつくっているそうです。

バタバタ茶伝承館

朝日町にある蛭谷(びるだん)地区に、地元の人が集まってバタバタ茶を飲んでいる「バタバタ茶伝承館」という場所があることを聞きました。地元の人がどんな感じで飲んでいるか見てみたい!と思い、急遽行くことにしました。

行く前に電話していたこともあって、地元の皆さんが待っていてくださいました。皆さんそれぞれ予定があったと思うのに、ありがたい。

お茶をたてたところで、地元の方が作ったヤツガシラの煮物と白菜のおつけ物が出てきました。当番の人が、お漬物と煮物を作って持ってくるんだそう。バタバタ茶としょっぱいお茶請けがあう!朝から動き回っていたので疲れていたのですが、バタバタ茶を飲んで、煮物とお漬物を食べて、元気になりました。

参加されていたお姉様方と年齢の話に。90歳代の方も多く、みなさん元気で、カッコ良かったです。バタバタ茶飲んで、みんなでおしゃべりするのが元気の秘訣かなぁとおっしゃっていました。

バタバタ茶伝承館は週に4回開館していて、地元の方々が、好きな時間に来て、お茶を飲んでいるそうです。このユルさも良いですね。

隣には、バタバタ茶を製造するスペースがありました。バタバタ茶を発酵させるには、1ヵ月以上かかるそうで、温度を一定に保つためにムロからひっくり返したり、温度をチェックするなど、手間がかかるそうです。この作業を夏の時期にするので、暑さとの戦いなんだとか。

帰り際に

何杯でもお代わりしていいよ、帰りはどうするの、どこに泊まっているのなど、たくさん話しかけてくださいました。初めて来たのに、親戚の家に久しぶりに来た、そんな気持ちになりました。バタバタ茶のお茶の成分に興味があって来たのですが、お茶を通じた人とのつながりが魅力的なんだなと感じた旅でした。今度は、収穫の時期に訪れてみたいです。

バタバタ茶伝承館